名義変更で同意書が必要なケースとは?手続きの流れと注意点
2025/03/01
相続手続きの中で、意外と戸惑うのが名義変更の手続き。
特に、複数相続人がいる場合、スムーズに手続きを進めるためには「名義変更同意書」が必要となるケースがあります。
今回は、名義変更同意書が必要となる場面や、その作成手続き、そして注意点などを、相続手続きに不慣れな方にも分かりやすくご紹介します。
名義変更で同意書が必要な場面と手続き
預貯金の名義変更
預貯金の名義変更は、相続手続きの中でも比較的早期に行われることが多い手続きです。
被相続人の預金口座は、亡くなった時点で凍結されるのが一般的です。
生活費の確保や葬儀費用などの支払いを考えると、迅速な名義変更が求められます。
この時、相続人が複数いる場合、相続人全員の合意を示す名義変更同意書が必要になります。
金融機関によって必要な書類や手続きは異なるため、事前に金融機関に確認することが重要です。
例えば、相続関係を証明する戸籍謄本や、相続人全員の印鑑証明書、そして名義変更同意書が必要となるでしょう。
同意書には、被相続人の氏名、死亡日、相続人の氏名・住所・印鑑、そして名義変更される預金口座の情報などを正確に記載する必要があります。
自動車の名義変更
自動車の名義変更も、名義変更同意書が必要となる代表的なケースです。
自動車の名義変更は、運輸局(陸運局)で行います。
手続きに必要な書類は、自動車検査証、譲渡証明書、印鑑証明書、そして名義変更同意書などです。
相続人全員が同意し、同意書に署名・押印することで、手続きがスムーズに進みます。
相続人全員で話し合い、誰が自動車を相続するかを決定し、その内容を同意書に明確に記載する必要があります。
また、自動車の登録情報や相続人の情報なども正確に記入する必要があります。
その他不動産・事業承継など
預貯金や自動車以外にも、不動産や事業承継などの場面で名義変更同意書が必要になる場合があります。
不動産の名義変更は、相続登記が必要となりますが、相続登記をする前に、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの不動産を相続するかを決定する必要があります。
この合意内容を記載した遺産分割協議書が通常必要ですが、特定の不動産についてのみ、相続人全員の合意を示す名義変更同意書を作成し、手続きを進めるケースもあります。
事業承継においては、事業の許認可の移転など、名義変更に関連する手続きが発生します。
この際、関係機関への提出書類として、名義変更同意書が必要となる場合があります。
各機関によって必要な書類や手続きが異なるため、事前に確認することが不可欠です。
名義変更での同意書作成における注意点と遺産分割協議書との比較
相続人全員の合意と署名押印
名義変更同意書は、相続人全員の合意が不可欠です。
相続人全員が同意書に署名・押印することで、合意の意思表示となります。
署名には、実印を使用することが一般的です。
また、印鑑証明書を添付する必要もあります。
相続人の一人でも同意しない場合、手続きを進めることはできません。
万が一、相続人同士で意見が対立した場合には、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
必要な書類の確認
名義変更同意書を作成する際には、必要な書類を事前に確認することが重要です。
手続きを行う機関(金融機関、運輸局など)によって必要な書類は異なります。
一般的に、被相続人の戸籍謄本、相続人の住民票、印鑑証明書などが求められます。
また、名義変更の対象となる財産に関する書類(預金通帳、自動車検査証など)も必要です。
事前に必要な書類をリストアップし、漏れなく準備することで、手続きをスムーズに進めることができます。
遺産分割協議書との違いと使い分け
遺産分割協議書と名義変更同意書は、どちらも相続人全員の合意を示す書類ですが、その対象範囲が異なります。
遺産分割協議書は、相続財産全体について、相続人の間でどのように分割するかを決定する際に作成される書類です。
一方、名義変更同意書は、特定の財産について、相続人全員が誰に名義変更するかを合意する際に作成されます。
遺産分割協議が完了していなくても、特定の財産の名義変更を急ぐ必要がある場合に、名義変更同意書が活用されます。
例えば、生活費の確保のために預貯金の名義変更を迅速に行う必要がある場合などです。
どちらの書類を作成するべきかは、状況によって異なります。
複数の相続人がおり、迅速な手続きが必要な場合は、名義変更同意書が有効です。
しかし、相続財産全体を分割する際には、遺産分割協議書が不可欠です。
まとめ
名義変更同意書は、相続手続きを円滑に進める上で重要な役割を果たします。
特に、複数相続人がいる場合、相続人全員の合意を明確にすることで、手続きの遅延やトラブルを防ぐことができます。
この記事でご紹介した注意点や手続きの流れを参考に、相続手続きに臨んでいただければ幸いです。