相続税と借金!知っておくべき対処法と相続税計算
2024/06/04
父が亡くなり、相続することになった財産と借金の存在を知ったときには、どのように対処すればよいのでしょうか。
相続には、財産だけでなく借金も引き継ぐことになります。
予想外の多額の借金があった場合、どのような選択肢があるのか、また相続税の計算はどのように行われるのか、見ていきましょう。
目次
相続した財産と借金の正確な把握方法
1:財産と借金の調査の重要性
父が亡くなり、借金を残していたことが判明した場合、まずは早めに財産の調査をすることが重要です。
相続には「単純承認」、「相続放棄」、「限定承認」の3つの方法があり、借金の額によって適切な方法を選択する必要があります。
プラスの財産とマイナス財産を比較・検討することで、最適な対処法を決められるのです。
2:プラスの財産の調査方法
相続財産を調べる際は、亡くなった方の遺品を丁寧に整理することから始めましょう。
預貯金通帳や金融機関からの郵便物があれば、その金融機関で預貯金の「残高証明書」を発行してもらえます。
株式等の所有も同様に、証券会社で「残高証明書」を発行してもらいます。
通帳等が見つからない場合でも、近隣の金融機関に照会することで、預貯金等の有無を確認できます。
不動産については、自宅に届く固定資産税の納税通知書から、所有している土地や建物を把握できます。
通知書が見当たらない場合は、市区町村役場の固定資産課税台帳(名寄せ帳)で確認が可能です。
3:借金の調査方法
借金の存在を知るには、亡くなった方宛てに届く督促状や支払い請求書などを確認します。
また、金融機関から届く郵便物や、残された通帳・カードの明細から、借金の有無や金額を把握できます。
ただし、これらの方法ですべての借金を把握できるとは限らないため、専門家に相談することをおすすめします。
相続税計算の流れと借金の影響
相続税の計算方法
相続税の計算は、以下のようなステップで行われます。
1:各相続人の課税価格を計算(取得した財産の価格-(債務+葬式費用)+生前贈与加算)
2:課税価格の合計額を計算
3:課税遺産総額を計算(課税価格の合計額-遺産にかかる基礎控除額)
4:各法定相続人の取得金額を計算(課税遺産総額×各人の法定相続分)
5:各法定相続人の税額を計算(各人の取得金額×税率)
6:相続税の総額を計算
7:各相続人の相続税額を計算(相続税の総額×(各人の課税価格÷課税価格の合計額))
8:各相続人の納付税額を確定
債務控除の適用
相続税の計算では、相続人の負担を軽減するために、故人が残した借金などのマイナス財産や葬式費用をプラスの財産から差し引けます。
これを「債務控除」といいます。
ただし、控除できる債務は、被相続人が死亡したときに存在した確実な債務に限られます。
例えば、金融機関からの借入金や未払金は控除対象となりますが、保証債務や団体信用生命保険で返済される住宅ローンは原則として対象外です。
借金が相続税に与える影響
債務控除により、相続税の課税価格が減少するため、相続人の税負担は軽減されます。
一方で、借金をすることで相続税を節税しようとするのは得策ではありません。
借金によって得た資金の使途によっては、相続税対策とはみなされず、単なる借金として扱われる可能性があるためです。
まとめ
父の死後、予想外の借金の存在が判明した場合、まずは財産と借金の正確な把握が重要です。
預貯金通帳や固定資産税の納税通知書などから財産を、督促状や支払い請求書などから借金を調査し、プラスとマイナスを比較・検討することで、適切な相続方法を選択しましょう。
また、相続税の計算では、債務控除により借金を差し引けますが、借金による節税効果は限定的です。
相続に関する問題は複雑であるため、専門家に相談しながら、慎重に対処することをおすすめします。
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