親の認知症で実家が売れない?凍結する前に売却できる方法と注意点
2024/08/172024/08/26
親が認知症になり、実家の売却に困っている方は多いのではないでしょうか。
親の介護費用を捻出するため、あるいは相続対策として、実家を売却したいと考えている方もいるかもしれません。
しかし、親が認知症になると、判断能力が低下し、実家を売却することが難しくなるケースがあります。
この記事では、親の認知症で実家が売れない場合の解決策を解説し、売却できる方法と注意点を示します。
目次
親の認知症で実家が売れない?凍結する前に売るには
親が認知症になると、判断能力が低下し、不動産売買契約などの重要な契約を結ぶことが難しくなります。
そのため、親が認知症になった後に、子どもが勝手に実家を売却することは認められないケースがほとんどです。
しかし、諦める必要はありません。
親の認知症でも、適切な手続きを踏めば、実家を売却することは可能です。
後見制度
親が認知症になり、判断能力が低下した際に、代わりに財産を管理する人を立てる制度です。
後見制度には、家庭裁判所が選任する「法定後見」と、親が元気なうちに契約する「任意後見」の2種類があります。
1:法定後見
家庭裁判所が、親の判断能力が低下したと判断した場合に、親の代わりに財産を管理する「法定後見人」を選任します。
法定後見人は、親の財産を管理する権限を持つため、実家を売却することも可能です。
ただし、法定後見人は、親の利益を最優先に考えなければなりません。
そのため、親の生活費や介護費用が不足しているなど、やむを得ない理由がない限り、実家の売却は認められない可能性があります。
2:任意後見
親が元気なうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、家族や信頼できる人に財産の管理を委託する契約を結びます。
任意後見契約では、親は、将来判断能力が低下した場合に、誰に財産の管理を委託するか、どのような方法で管理するかなどをあらかじめ決めておけます。
そのため、親が認知症になった後でも、事前に決めた内容に従って、実家を売却することが可能です。
家族信託
家族信託は、親が財産を管理する「信託財産」を、家族や信頼できる人に委託する制度です。
親は、家族信託契約で、財産の管理方法や売却の条件などをあらかじめ定めておけます。
そのため、親が認知症になっても、事前に定めた条件に従って、実家を売却することが可能です。
家族信託は、後見制度と比べて、手続きが比較的簡単で、費用も抑えられるというメリットがあります。
生前贈与
親が元気なうちに、実家を子どもに贈与する方法です。
生前贈与は、親が認知症になる前に、実家を子どもに所有権移転させるため、親が認知症になっても、子どもが自由に実家を売却できます。
ただし、生前贈与は、贈与税がかかるというデメリットがあります。
贈与税の税率は、贈与額によって異なります。
贈与税を避けるためには、贈与額を110万円以下に抑える必要があります。
親の認知症の自宅売却の注意点
親の認知症の自宅売却には、いくつかの注意点があります。
1:売却が認められない場合もある
後見制度を利用する場合、必ず実家の売却が認められるわけではありません。
後見人は、親の財産を守る役割を担っています。
そのため、後見人は、親の利益を最優先に考え、実家の売却が親にとって本当に必要かどうかを判断します。
親の生活費や介護費用が不足しているなど、やむを得ない理由がない限り、実家の売却は認められない可能性があります。
2:売却までに時間がかかる
親の認知症が重症になった後に実家を売却する場合、後見制度を利用する必要があります。
しかし、後見制度の手続きには、時間がかかる場合があります。
後見申立の準備から完了するまでには、3~6ヶ月程度かかるケースもあります。
さらに、売却手続きにも時間がかかるため、売却までに1年以上かかることもあります。
3:住宅ローンが残っている場合の売却は難しい
親が認知症になっても、住宅ローンが残っている場合は、売却が難しい場合があります。
住宅ローンが残っている場合は、売却によって得たお金から、住宅ローンを返済する必要があります。
しかし、親が認知症になってしまった場合は、住宅ローンの返済が困難になる可能性があります。
そのため、住宅ローンが残っている場合は、事前にローンの繰り上げ返済などを検討しておく必要があります。
まとめ
親の認知症で実家が売れない場合でも、後見制度、家族信託、生前贈与など、売却できる方法があります。
しかし、それぞれの方法には、メリット・デメリットがあります。
そのため、親の状況や家族の事情に合わせて、最適な方法を選択する必要があります。
売却をスムーズに進めるためには、事前に弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
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