高額査定の幻想【不動産一括査定サイトの闇】
2022/07/222023/06/17
不動産一括査定サイトの高額査定に踊らされていませんか?
賢く不動産売却ができるように、不動産一括査定サイトの闇を暴いていきます。
一括査定サイトの仕組み
不動産一括査定サイトは広告媒体です。
査定サイトは売りたいお客様に情報を入力してもらい、登録している不動産会社へ、情報を丸投げします。その情報をもらった不動産会社は査定サイト1件の送客毎に1~2万円の費用を払っています。
不動産会社からしたら、1反響1~2万円を無駄にはしたくないから、必死に電話をして訪問査定できるようにしつこく電話するのです。査定サイトは約6社に顧客情報を送るので、査定サイトは一回の査定依頼で6~12万円の儲けがあります。その収益で新たに査定の広告を打ち、集客し不動産会社へ情報を流し収益を建てております。
一括査定の査定額が高くなる理由
※相場価格が2,000万円の不動産と仮定します。
各不動産業者から金額の提示があります。
「A社:2,000万円 B社:2,200万円 C社:2,500万円」
といった具合に確実に価格にバラつきが生じます。
不動産価格を算出する場合、当然その「根拠」があるわけですが、多少の「誤差」は認められるにしてもいわゆる周辺の「相場価格」と大幅に価格が乖離することはあり得ないわけです。
それではなぜ、このように「根拠」があるのにも関わらず各社価格にバラつきが生じるのでしょうか。
そしてなぜC社はA社と500万円もの差が生じたのでしょうか。
アンカリング効果を利用した提案手法
それは「高い金額を提示した業者に売却依頼をする可能性が高い」からです。
C社が2,500万円という金額を提示した場合、その2,500万円が「アンカー」となり、2,500万円以下の金額を提示された場合「安い」と感じてしまう現象が起こります。
本来A社は最も誠実な対応をした業者と言えるのでしょうが、逆に、最も安い価格を提示した業者というレッテルが貼られ「話すら聞く気になれない」という具合になります。果たしてこの選択は不動産を売却される方にとって有効的な手法なのでしょうか。
一貫性の心理につけこんだ媒介契約
相場価格よりも高い金額で売出した不動産の末路はどうなるのでしょう。結論から言ってしまえばかなりの高確率で売れません。販売開始から1年以上経過した、などということもざらに起こります。稀に「隣地の人が購入した」等、特殊な例はあるにしてもそれはかなり特殊な例です。「そんなことなら販売業者を変えてしまえばよい」と思うかもしれませんが、その際人間には「一貫性の心理」という現象が強く働きます。
媒介契約(販売契約)の期間は3ヶ月です。原則として自動更新は不可能です。更新のタイミングで業者を変更してしまえば良いだけの話なのですが、それがなかなか出来ません。人間は極度の「めんどくさがり」で「一度決めたことにたいしては一貫したい」という性質を持ちます。これでまんまとC社の仕掛けた罠にはまってしまったことになります。
不動産業者選びの重要性
高い価格提案につられてしまうことは悪いことと思いません。ご自身の所有する不動産をほめてもらえれば嬉しいでしょうし、高い価格を提示されたら嫌な気はしないでしょう。本来ならば一般の方よりも知識のある、不動産業者が根拠を示しつつ、丁寧に価格の提案をしていけば良いだけの話です。一般の方はむしろ「犠牲者」なのかもしれません。それらを回避するために、不動産業者は誠実に対応しているのか、提案価格は適性なのかを十分に吟味する必要がありそうです。大手企業だから、会社に規模が小さいから、という理由だけで判断することは危険です。あくまでも判断基準は「適正な価格」で「誠実に提案」しているか、です。
どのように対策したらよいか
簡単な方法を紹介します。
①不動産ポータルサイトやチラシなどで近隣の価格をリサーチする。
②匿名で不動産会社に電話を入れ、周辺の価格を把握する。
この2つを行うだけでかなり状況が違ってきます。先ずは、自分自身で「適正価格」を知ることがとても重要です。そうすることで、不意に高い金額を提案されても、ご自身が「アンカー」を作っておくことで「金額に惑わされる」リスクをヘッジすることが可能です。当然、明らかに高い金額を提示してきた業者は「不誠実」と判断出来るでしょう。
不動産を売却する、ということについては一生のうちに何度もあることではありません。一度の失敗が、大きな失敗に繋がることは必至です。そのあたり、留意しながら不動産の売却を検討していくことを強くお勧めします。